ケーススタディ その2

ケーススタディ その2 ~後継者候補はいる~

息子はいたものの、大企業に勤めていて戻ってこず
一緒に働く仲間の幸せを求めて、大手企業への譲渡を決断

70代後半、創業者

所在地 東京都
設立 1970年代
事業内容 総合ビルメンテナンス業
売上高 1,000百万円

譲渡企業オーナーのK社長は、ビルメンテナンス業を営む70代後半の創業経営者。九州の小さな島に生まれ、幼くして父親を亡くし、一家の大黒柱として働くことになった。事業の失敗により、借金返済のために上京を決意、昼夜問わず複数の仕事に明け暮れる日々を過ごす中で、ビルメンテナンスの下請け会社を手伝うことになった。その会社の業務倒産、親会社社長の現金の持ち逃げなど憂き目に合うも、それがキッカケでビルオーナーとの直接契約を獲得し、独立することになった。創業から30年あまり、取引先からの信用も厚く、企業の収益・規模ともに順調に推移していた。

本事例のポイントは、社外の大手企業に勤務する息子から「会社を継がせてほしい。」と申し出があったのに、なぜM&A(第三者への承継)が選択肢となったのか?

事業承継に対する考え・選択肢は?

「修行に出した息子は、大きな企業に勤めており、帰ってくる気配がありませんでした。」

私には息子がおり、卒業後15年間、外で修業させ、外の窯の飯を食った後に、会社に戻ってくる約束をしておりました。しかし、15年経ってもその気配は一向に見えませんでした。年齢的には70歳を超えていましたが、健康には自信があったので、あと5年くらい外にいても大丈夫という気持ちで、健康がゆえに承継については深く考えてはおりませんでした。
会社には自分と同じ世代の親を持つ社員が多くいました。自分はまだまだ元気と思っているのに、周りから見ればいつまで頑張るのかな?という感覚を持たれているのではと、継承についてどうするか、悶々としていました。

M&Aを検討した経緯は?

「それは、偶然かかってきた一本の電話からでした。」

そんな時に、M&Aキャピタルパートナーズの担当者から電話があり、いつもは出ることはないのですが、なぜかその時は会ってみようかなと直感的に思ったのです。 担当者にお会いしてみると、率直に「誠実な方だな」というのが第一印象でした。
何よりも一番関心したのは、専門的な質問、悩みに対して、専門家との横のつながりがあり、必ず次に会ったときには的確な回答を取って持ってきてくれる。これは話を続けても大丈夫だなと思いました。事業承継という重要な決断を相談するには、担当者との信頼関係が何よりも重要だと思います。

M&Aを検討する際に重要視したポイント

担当者との打合せを進める中で、次の3つの優先順位で検討しました。

1.第一に働く仲間のことです。30年以上一緒に働いてもらった仲間の処遇がどうなるかを一番重要視しました。
2.次にお相手先が、どういった先でどういった考え方なのかということ。
3.最後に譲渡金額、キャピタルゲインという順番でした。

ご子息への承継という選択肢との葛藤

正月に息子と時間を取って、M&Aのこと、承継のことを話しました。息子も相当に悩んでいたようですが、親がやっていた仕事を継げないことへの申し訳なさを感じる一方で、外から戻ってきて親の会社に溶け込めるかについては心配しているようでした。
次に2月末に話し合った際、きっとその間にいろいろな方に相談をしたのでしょうが、「親父、俺に会社を継がせてほしい」との申し出を受けました。 しかし、私の中では、いま息子に託して、働いている仲間との関係、大きい会社の一部として働いていた人間が本当にまとめることができるのか心配に感じました。そしてその時には、「大きな企業のパーツとしては務まっていたが、事業を創り出すことは難しいんだよ。考えさせてくれ。」と私からの回答を保留しました。

お相手先に対する印象は?

「歴史があり、社員を大切にしてくれるいい会社だなと感じました。」

お相手候補2社とのトップ面談を経て、そのうちの大手電鉄系のビルメンテナンス会社とお話を進めることに決めました。同社との面談を重ねる中で、お相手先の意欲、スタンスをお伺いし、双方に理解を進めていくことができました。

1.会社は今のままの状態で、社名はそのまま残すこと
2.社員の待遇、ポジションは一切変更しないこと

私の中で一番心配していた仲間の処遇に対する不安が消えたことが、M&Aによる譲渡を進める一番の決め手になりました。仲間は、待遇と自分の立場さえ変わらなければ、ヘッドが変わっても何の影響もないはずだと思い、話を進めようと思ったのです。
私の会社の基盤が、人との出逢いから始まったように、M&Aも人との出逢いだと思います。なぜならM&Aはお相手がいないと進むお話しではありませんし、そのお相手探し含め経営者にとっては初めての体験となるため、その道のプロに相談し支援いただくのが一番だからです。

譲渡後の関わり方・周囲の反応は?

今回の話を進める上で、私は仲間のことを第一に考えていました。今回の話がまとまれば、「会社としてより社会貢献に繋がる。バックがそういった会社であれば仲間もより仕事がしやすくなる。」と確信していました。
譲渡後に自分は会社に出ないと考えていましたが、引受先の企業・新社長の方がとてもいい方々で、週に1度顔を出すようになりました。そうすると自分がいたときよりも、社員が非常に伸び伸びと働いているのを見て、「本当に今回は決断してよかったな。今回のご縁は有難かったな。」と感じました。

M&Aを通して実現できたこと

M&Aを成功させるには、自分たちが元気な時でないとダメだと思います。自分が相手先にNoと言えるタイミングの方が、相手からいい条件を引き出せますし、相手からも喜んで引き受けてもらえるからです。
また、今回の話を進めて驚いたことは、自分は税制的に退職金制度が一番優遇されていると思っていたのですが、未上場企業のキャピタルゲイン課税は20%と非常に優遇されていることです。今回の譲渡のおかげで、相続に関する問題が半分くらいは片付きました。 そして何より、自分の大切な仲間の処遇を守ることができたことが一番良かった。

最後に

M&Aは企業と企業の結婚であり、ご縁とタイミング、そして経営者の決断が重要になると思います。大切な仲間を守り、会社にとっては更なる発展のために、今回の決断をして本当によかったと感謝しています。 今回の譲渡資金で、故郷の島で土地を購入し、久しぶりに農業を始める予定です。  これからも「出逢い」を大切にしつつ、余生を謳歌していきたいと思っています。

本件のタイムライン

2012年10月 K社長との初回面談
2013年01月 アドバイザリー契約締結
2013年04月 譲受け企業とのトップ面談
2013年10月 基本合意書締結
2014年11月 買収監査実施
2014年2月 最終契約締結

譲受け企業

電鉄系企業(東証一部上場)

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