スタンドスティル条項とは? スタンドスティル条項の概念、メリットとデメリット、留意点について詳しく説明します。

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M&A(Mergers and Acquisitions、合併・買収)を実施する過程において、スタンドスティル条項(Standstill Provisions)という言葉を耳にすることがあります。スタンドスティル条項は、売り手企業と買い手候補企業のM&Aを友好的に進めていくうえで重要となる条項となっています。
今回は、スタンドスティル条項の概要、M&Aでの活用方法、メリットとデメリット、留意点について、詳しく説明します。

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1. スタンドスティル条項の概要

1-1. スタンドスティル条項とは?

スタンドスティル条項とは、売り手企業が情報を開示した後で、買い手候補企業が売り手の承諾なく株式を取得したり、委任状を勧誘することを禁じる取り決めを指します。
スタンドスティル条項は、M&A分野以外、例えば2国間の貿易協定においても採用されることがあり、そこでは関税を現行レベルで固定するために用いられます。
なお、スタンドスティル(Stand Still)は直訳すると「停止」、「Provisions」は「条項」を意味します。
スタンドスティル条項は、「Stand Still Provision」のほか、「Stand Still Agreement」や「Stand Still Clauses」という表現を使うこともあります。表現は違いますが、どれも同じ意味を表しています。

2. スタンドスティル条項のM&Aの活用方法

M&Aにおいては、スタンドスティル条項を取り決めることで、売り手企業は買い手候補企業による強引な買収を防ぐことができます。
また、スタンドスティル条項を定めることで、買い手企業にとっては売り手企業に対して敵対的買収をするつもりはないという意思表明にもなります。
実務上、スタンドスティル条項は、売り手企業と買い手候補企業で秘密保持契約を結ぶ際に、秘密保持契約書に記載するケースが一般的です。
なお、M&Aにおけるスタンドスティルとは、買い手候補企業が売り手企業の株式を買い進めることや、委任状の勧誘を行うことなどを停止することを指すことが一般的です。

3. M&Aにおけるスタンドスティル条項のメリットとデメリット

M&Aにおけるスタンドスティル条項を用いることについて、売り手と買い手のメリットとデメリットをそれぞれ整理します。

3-1. スタンドスティル条項のメリット

まず、主なメリットは以下のとおりです。

  • 売り手にとって、M&Aを進める際にスタンドスティル条項を盛り込んだ契約を締結することで、売り手は買い手から一気に自社の株式を買い付けられるリスクを軽減できる。
  • 買い手にとって、スタンドスティル条項を盛り込むことで、売り手に対して友好的な買収であることを示せる。

3-2. スタンドスティル条項のデメリット

次に主なデメリットは以下のとおりです。

  • 売り手にとって、スタンドスティル条項を締結しない場合、相手との信頼関係を構築する前に突然買収される可能性がある。
  • 買い手にとって、スタンドスティル条項を盛り込まない場合、敵対的買収を疑った売り手から対抗策を講じられると、M&Aは失敗に終わる可能性が高くなる。

4. M&Aにおいてスタンドスティル条項を織り込む際の留意点

M&Aの契約書において、実際にスタンドスティル条項を盛り込む場合は、標準的なフォーマットをそのまま使うことはリスクがあります。M&A前後の法的リスクを防ぐため法律専門家などに相談した上で、契約書を作成することが重要です。

5. まとめ

スタンドスティル条項を契約書に織り込むことは、売り手企業は強引な買収を防ぐことができ、買い手候補企業は友好的買収であることをアピールすることができます。そのため、スタンドスティル条項を設ける重要性は、売り手企業と買い手候補企業の信頼関係構築にあります。従って、スタンドスティル条項の設定は、信頼関係を築きつつ、M&Aを友好的かつ円滑に進める上で不可欠な要素です。
M&Aを実施する際にはスタンドスティル条項を契約書に織り込むことを考慮に入れることが重要と考えます。

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監修者プロフィール
M&Aキャピタルパートナーズコーポレートアドバイザリー部長 梶 博義
M&Aキャピタルパートナーズ 
コーポレートアドバイザリー部長
公認会計士梶 博義

大手監査法人、事業承継コンサルティング会社を経て、2015年に当社へ入社。
これまで、監査、IPO支援、財務DD、親族承継・役職員承継コンサル等を経験し、当社入社後はM&Aアドバイザーとして活躍。一貫して中小企業の支援に従事し、M&Aのみならず、事業承継全般を得意とする。

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