バイアウトファンドとは? 概要、仕組み、メリットとデメリットを徹底解説

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企業経営に関わるファンドの中にも、さまざまな種類がありますが、プライベート・エクイティ・ファンド(以下、PEファンド)の種類の中のひとつにバイアウトファンドがあります。 今回は、バイアウトファンドの概要、仕組み、ベンチャーキャピタル(VCファンド)との違い、バイアウトファンドを利用するメリットとデメリットについて、詳しく説明します。

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1. バイアウトファンドの概要

1-1. バイアウトファンドとは?

バイアウトファンドとは、後継者不在などによる事業承継のための持株売却、経営陣によるMBO(Management Buyout)、複数の事業を運営する会社のノンコア事業の切出し等により、成長戦略の見直し、リストラクチャリング等を実行することで対象企業の企業価値向上を目指すファンドです。株式公開(IPO)、第三者への譲渡、自社株買いなどの方法で最終的に保有株式の売却を行い収益を上げることを目的としています。
また、バイアウトファンドの投資期間は、5年前後に設定するのが一般的で、長くても10年程度です。このように短期間で利益を確定して投資家へ分配するため、投資期間が限定的となっており、企業価値の向上を生み出しやすい施策を計画実行し、バイアウトを進めていきます。

2. バイアウトファンドの仕組み

バイアウトファンドの仕組みは、主に以下の通りです。

  1. バイアウトファンドに出資意欲のある投資家から資金を預かる
  2. 投資対象企業に出資するとともに経営に関与する
  3. 成長戦略の見直し、リストラクチャリング等を実行することで企業価値を向上させる
  4. 企業価値が上がった際に株式や事業を売却する
  5. 高い利益を実現させる

なお、バイアウトファンドは、ある程度成熟した企業を中心に投資が行われます。
しかし、場合によっては投資手法として、経営状況の悪い会社を安値で買収することから「ハゲタカ」と呼ばれることもあります。

3. ベンチャーキャピタル(VCファンド)との違い

ベンチャーキャピタルとバイアウトファンドは、よく混同されがちですが、以下のような違いがあります。
ベンチャーキャピタルの投資対象は、これから株式上場を目指すようなベンチャー企業です。
一方、バイアウトファンドは、前述したとおり、ある程度成熟した企業が投資対象となります。
また、ベンチャーキャピタルは経営に携わることなく出資のみを行うため、出資金の投資額も低く抑えることができます。
これに対して、バイアウトファンドは、経営に関与することで企業価値を向上させることを目指し、企業買収に近い形態を取ります。その結果、ベンチャーキャピタルより大きな投資額が必要となります。

4. バイアウトファンドを利用するメリット

ここで、バイアウトファンドを利用するメリットを紹介します。主に以下の通りです。

4-1. 事業承継できる可能性が高まる

バイアウトファンドは、後継者がいないオーナー企業の場合、会社の継ぎ手として活用されます。
バイアウトファンドは、企業価値を向上させた後に後継者や事業会社へ譲渡する戦略です。そのため、後継者不足に悩む経営者にとって有効です。

4-2. 事業再生できる可能性が高まる

企業の成長が停滞し、伸び悩んでいる場合にも、バイアウトファンドによる事業再生が期待できます。
バイアウトファンドは、資金だけでなく経営の専門知識をもった人材も派遣されるため、手厚いサポートを受けることができるのです。
また、ファンドからの多額な資金提供により、事業再生の可能性が高まります。

4-3. カーブアウトを行える

カーブアウトとは、「切り離す」や「切り出す」などの意味を持っており、企業が事業の一部や子会社を切り離し、ベンチャー企業として独立させ、収益改善や事業成長を図る経営戦略をいいます。
バイアウトファンドを活用したカーブアウトを行う場合、子会社が不採算事業だった際に他社に譲り渡すことで本事業へ注力できるようになります。
また、不採算事業だった子会社は、バイアウトファンドが買収することによって企業価値を向上させることも可能です。

5. バイアウトファンドを利用するデメリット

次に、バイアウトファンドを利用するデメリットを紹介します。主に以下の通りです。

5-1. 経営の自由度が制限される

バイアウトファンドの目的は、企業価値を向上させて利益を上げることです。つまり、ファンドと投資家の利益を確保するために企業価値を向上させるのです。しかし、場合によっては、ファンドと会社の間で方針がずれ、対立するケースもあります。
経営権はファンド側にあるため、会社はファンドに従わざるを得ない状況となり自由度が制限されるのが難点としてあります。
バイアウトファンドは会社を短期間で売却することを目標としているため、長期的な戦略を立てない傾向にあります。

5-2. 経営権を失うリスクがある

バイアウトファンドは、利益を得るためにM&Aによって企業を売却することにより、第三者が経営権を取得する可能性があります。
つまり、元の経営者は経営権を失うリスクがあります。

6. まとめ

今回は、バイアウトファンドの概要、仕組み、ベンチャーキャピタルとの違い、バイアウトファンドを利用するメリットとデメリットについて、詳しく説明しました。
バイアウトファンドのサポートによって、後継者不在などによる事業承継を達成できる可能性が高まります。そのため、経営者は、バイアウトファンドについて理解し、必要に応じてM&Aの専門家に相談することが望まれます。

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監修者プロフィール
M&Aキャピタルパートナーズコーポレートアドバイザリー部長 梶 博義
M&Aキャピタルパートナーズ 
コーポレートアドバイザリー部長
公認会計士梶 博義

大手監査法人、事業承継コンサルティング会社を経て、2015年に当社へ入社。
これまで、監査、IPO支援、財務DD、親族承継・役職員承継コンサル等を経験し、当社入社後はM&Aアドバイザーとして活躍。一貫して中小企業の支援に従事し、M&Aのみならず、事業承継全般を得意とする。

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