1.コープさっぽろの概況
コープさっぽろの売上高は現在約3200億円で、経常利益は4億4000万円です。2007年に「負の統合」と呼ばれる経営統合からスタートしましたが、その後の経営再建を経て、コロナ禍の流行中には最高益を記録しました。
組合員と地域への影響
組合員数は197万人に達し、北海道の世帯のほぼ80%が組合員です。出資金は約900億円で、ほとんどの事業運営資金は組合員からの出資によって賄われています。また、従業員数は約1万6000人です。
![コープさっぽろの経済状況 スライド](../../../about/seminar/performance/img/pf03_img01.png)
事業展開と社会貢献
コープさっぽろは、全道に110の店舗と50の宅配センターを持ち、1300台の車両で運行しています。また、高齢者向けの配食事業や生産工場、水資源保全センターなど、北海道で最大規模の事業を展開しています。
市場の現状と展望
北海道は人口減少が進んでおり、世帯数の減少による消費の後退が予想されます。市場は主要3社が75%のシェアを持つ寡占状態で、競争が激化しています。
社会的経済の役割
コープさっぽろは共同組合として、社会的経済を担う「第3セクター」に位置づけられています。欧州の社会経済のモデルにも通じる、社会的な価値を提供する組織です。
コープさっぽろの理念
コープさっぽろは、人間を中心に置いた運営を行い、教育と訓練を通じての人間の発達を重視するという強固な基本方針の下に活動しています。この組織の原点は、1844年に英マンチェスター郊外で発足した「ロッチデール先駆者共同組合」までさかのぼります。産業革命が進む中で、労働者たちは不正な商売慣行に立ち向かい、自らの手で公正な取引を実現するため共同組合を立ち上げました。この運営原則は今日も継承されています。
コープさっぽろの歴史
日本においてコープさっぽろは特に注目すべき活動を展開してきました。北海道大学名誉教授の高倉新一郎先生は、地域と教育に関わりながら、組織の理念を形成し推進してきました。1990年代の経済危機では、大手の競合に立ち向かうため独自の戦略を展開しましたが、一時は経営破綻に至りました。それでも、組合員と地域社会の支援を受けて立て直し、今日に至っています。
コープさっぽろの歴史は、単なる商業活動の記録以上のものです。それは、困難に立ち向かいながらも、一貫して人間優先の姿勢を貫き、地域社会とともに成長を遂げる姿を示しています。このような共感を呼ぶストーリーは、多くの人々にとって、ただの消費活動を超えた深い意味を持つものです。