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M&Aご成約者事例
#76

スタッフの雇用と地域の患者を守るために

予防歯科を中心とした診療方針と確かな技術力に加え、親しみやすい院長の人柄が評判の医療法人社団新緑会「もも歯科」。小さな子どもから高齢者まで幅広い患者が通う、地域に根差した歯科医院として発展を続けてきた同院が、なぜ事業承継を進めようと考え、株式会社地域ヘルスケア連携基盤から経営支援を受けることになったのか。医療法人社団新緑会「もも歯科」を創業した理事長である髙松 信美 様に、決断に至るまでの経緯を伺った。

地域の人に親しまれ、拡大の一途を辿った

まずは髙松様が、もも歯科を創業した経緯からお話しいただけますでしょうか。

髙松
医療法人社団新緑会「もも歯科」 理事長 髙松 信美 様(以下:髙松)

私が学生の頃、まだ先進的であった“予防歯科”の考え方に共感し、歯周病菌の研究に従事したいと思いました。九州歯科大学の大学院に進学したのですが、まだその分野の研究者が少なかったこともあり、国立予防衛生研究所の研究生として2年間内地留学を経験させてもらうなど、研究一辺倒の日々を送っていました。修了後は鹿児島大学に就職し、研究だけでなく、治療も行いました。予防、小児、矯正歯科の専門医たちとチームを組んで治療を行い、臨床経験を重ねていきました。

鹿児島大学では3年間働きました。そこで結婚をして出産もし、仕事を続けてきたのですが、価値観の不一致から離婚をしました。大学での勤務を辞めて、両親が住む静岡に帰ってきたのですが、残念ながら静岡には歯科大学がないため、県内の歯科医院に勤めることにしました。鹿児島大学では小児を診ていたので、大人の治療は学生の臨床実習以来のことでした。一生懸命に働いていたのですが、2年ほど経った頃、独立開業をしたいと考えるようになりました。

今考えると、思い切ったことをしたなと思います。臨床経験3年、34歳での開業は勇気が必要でした。運良くといいますか、母方の祖父が商売をしていたため、銀行を紹介してもらい、その後押しもあってスムーズに融資をしていただけました。当初は私と娘が暮らせるくらいのお金が稼げればいいと、こぢんまりとした隠れ家的な歯科医院にしようと考えていました。そのため一切広告をせずに開業したのですが、周りに予防歯科を掲げた歯科医院がなかったことから、思いの外患者さんが押し寄せてきたのです。

診療方針が時代や地域にマッチしたのでしょう。また、自分で言うのもなんですが、私のこのざっくばらんな性格も、この地域の人に合っていたのではないかと思います。そして、とにかく一生懸命、患者さんファーストで診療をする姿勢は伝わっていたのだと思います。患者さんたちは私のことを本名の「髙松先生」ではなく歯科医院の名前の「もも先生」と呼んで慕ってくださいました。

髙松

患者さんが増えるにつれて、歯科医院を拡大していきました。急激に大きくなったのではなく、少しずつ歯科ユニット(歯科用椅子と治療用装置が一体になった歯科専用の設備)を増やしていった感覚ですね。歯科衛生士などを増やして対応してきたのですが、歯科ユニットが5台に増えた頃から歯科医師も採用。それまでは“赤字にならなければいい”という感覚で運営をしてきましたが、だんだんとスタッフが増えてお給料も増えてくると、それだけではいけません。経営者としての責任を意識するようになりました。

大きな転機となったのは、開業して14年ほど経ったある日のこと。卒業25周年の同窓会のときに講演があり、そのテーマが「これからの若い先生たちに一網打尽にされないために、どうすれば僕たちは生き残れるか」でした。そこで「CT、セレック(セラミックの詰め物・被せ物を自動で設計・作製するシステム)、マイクロスコープが必須の三種の神器だ」という話があり、購入しようと考えました。資金が必要になったため、経営コンサルタントに相談してみたのですが、「こんなに利益率の悪い歯医者は見たことがない」と言われたのです。

 

そこで経営コンサルタントのアドバイスを受けて経営を改善し、三種の神器を手に入れると、「あそこはいつも新しい機械があるぞ」と評判になり、ますます患者さんが増えるようになりました。最初に開業した場所で拡大を続けてきたのですが、敷地内にスペースがなくなってしまったので思い切って移転し、さらに歯科ユニットも8台に増やしました。それも一緒に働いてきたスタッフと患者さんのおかげですよね。

“一生働ける歯科医院にしたい”と思っていた

髙松様が中心となり成長させてきた歯科医院です。どのようなきっかけから事業承継を意識するようになったのでしょう。

髙松
髙松

私が目標にしてきた、12歳上の女性歯科医師の方が、60歳を過ぎて急にリタイアされたのです。そのことを聞いて心配に思ったのは、“その歯科医院に通っていた患者さんが歯医者難民にならないか”ということです。それは私たちの歯科医院に置き換えてみても同じです。自分の歯科医院がこれだけ大きくなり、たくさんの患者さんが来てくれていますが、“通い続けたいと考えている歯科医院がなくなってしまう”ということは避けなければなりません。さらに私は、ここを“一生働ける歯科医院にしたい”と思っていたので、誰かに承継したいと考えていました。そんなとき、私ががんにかかっていることが発覚しました。すぐ、私が後継者として考えていた勤務医に継いでほしいと相談したら、もも歯科に残っている借入金を理由に断られ、もも歯科からも去って行ってしまいました。承継の話はいったん、行き詰ってしまいました。

病気の治療が進み、私が少し元気になって、もも歯科に戻ってきたときに、再び承継について考えられるようになったのですが、よく考えてみれば、意欲ある先生は皆、自分で開業していきます。既存の歯科医院を引き継いでも良いと考える先生を探すのは非常に難しいと感じました。そんな時に、タイミングよく届いていたM&Aキャピタルパートナーズからの封書に目が留まったのです。

事業承継という言葉を目にして、すぐにピンと来たのですか。

髙松
髙松

いえ、ピンとは来ませんでした。それでも連絡をしてみたのは一種の勘のようなものだったのかもしれません。

 

私は迷ったら行動するという性格なので、まずはM&AキャピタルパートナーズにFAXを送ってみました。それから経営コンサルタントに相談したのですが、「事業承継は最後の手段に取っておいた方がいい」と言われたので、“一度だけ面談をしたら終わりにすればいい”と考えていました。申し訳ないですが、そんな感覚でお会いしようと思っていたのです。

ここからは、担当アドバイザーの中村さん、円谷さんも交えてお話を伺います。髙松様から見たお二人の印象はいかがでしたか。

髙松

“うさんくさくはなさそうだ”とは感じました。でも、最初に決めていた通り、面談は一度きりにしようと思っていたので、お別れの挨拶のつもりで、別れ際に歯ブラシをプレゼントしました。私はいつももう会わないなという方には歯ブラシを贈るのです。でも、結果的には、その後、何度もお会いすることになりました。最初の面談で決算書をお渡しした後、提案書を作成したのでお渡ししたいというご連絡をいただいた時に、“一生懸命にやってくれている”と感じたのは大きかったかもしれません。経営コンサルタントからは事業承継は最後の手段と言われていたけれども、“もう少し話を聞くくらいいいのかな”と思いました。

もちろん、病気のこともあるので、正直、焦ってはいました。“自分がいなくなっても存続する歯科医院にしたい”と思っていたのですが、経営コンサルタントのシミュレーションでは、私が今後10年間も元気でたくさん働くことを前提にしていました。その通りになればもちろん良いのですが、それとは別の私の病気が再発した場合のシミュレーションに納得がいかなかったのもあります。もしかしたらM&Aキャピタルパートナーズから、別な観点からの提案があるのではないか、という期待もあったのだと思います。

中村
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 企業情報部 中村 喜人(以下、中村)

初回の面談で髙松先生の病気の話を伺いました。また、「これまでとても恵まれた歯科医師人生だったが、残りの人生はスタッフの幸せのために使いたい」とお話をされたのが印象に残りました。2回目の面談のお約束をいただけたとき、髙松先生からご期待いただけていると感じ、絶対にお応えしたいという思いが生まれました。

円谷
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 企業情報部 課長 円谷 修平(以下、円谷)

主担当である中村と共に、すべての面談をご一緒させていただきました。髙松先生は最初の面談で「医療は福祉」と言われ、「患者さんを診ていった先に業績が付いてくる」というお話を伺い感銘を受けました。患者さんに真摯に向き合っている姿を見て、よりいっそう強くお手伝いをしたいと感じ、髙松先生にとって一番良い選択肢は何かを二人で考えていきました。事業承継の方法の一つとして第三者からの経営支援を受ける方法がありますが、初めからこの形を勧めたわけではなく、複数の選択肢がある中で経営支援を受けることについても情報収集をしていただき、もしも経営支援を受けることが最善だと思えれば進めても良いのではないかと髙松先生にはお伝えをしていました。

 

経営支援を受ける株式会社地域ヘルスケア連携基盤(以下、CHCP)を最初に紹介されたときに、どのような印象を持たれましたか。

髙松
髙松

先方のホームページを拝見すると、代表取締役会長である武藤先生は、熱心に訪問診療に取り組んでいることがわかりました。個人的な考えではありますが、訪問診療に注力する先生に悪い人はいないので、“信頼できる”と思いました。また、同じ学会にいる先生もCHCPの経営支援先のひとつだったこともあり、当初から安心感はありました。実をいうと、M&Aキャピタルパートナーズから資料や情報をいただいた時点でほとんどお相手先は決めていました。提案資料は、M&Aキャピタルパートナーズのお二人がしっかりと私たちのことを考えて提案してくれていると伝わるものでした。経営支援先の法人も信用できると思ったので、トップ面談の前に気持ちは固まっていましたね。性格的に決断は早い方だと思いますし、中村さん、円谷さんが親切にサポートをしてくれたので、大きな問題もなくとんとん拍子に話が進んでいった印象です。

中村

髙松先生のスタッフを大切にする思いと、質の高い治療を提供し続けたいという思い、患者さんが不利になるような治療を選択しないという点で考えが合うお相手だと感じました。また「予防歯科」がキーワードになると思いますが、CHCPの経営支援先にも同じく、「予防歯科」を重要視されている歯科医院が多くあります。また、自費治療よりも保険治療を重視されている組織ですので、親和性があるのではないかと、お話を進めさせていただきました。

髙松

中村さんはとても親しみやすく、なんでも相談できました。円谷さんは丁寧に対応してくださり、安心してお任せできる方だと感じていました。こういった手続きを進めるうえで必要となる書類の用意はとても大変ですが、どうせいつかはやらなければなりません。仮に私の病気が悪化して、急に誰かに承継しなくてはならなくなったとき、その面倒な作業を結局は誰かがやらなければならないのですから、中村さんや円谷さんのように優秀なサポーターがいるときに進めることができて本当に良かったと思っています。

 

この2人に出会わなければ決断しなかった

髙松
髙松

正直言って、少し寂しい気持ちになりました。23年間、家庭を顧みずに、もも歯科の運営にまい進してきました。多くのことを犠牲にして時間を費やしてきたので、やはり寂しいですよね。しかし、これでスタッフが年齢を重ねても働ける場所ができたと思うと、ほっとする気持ちがあります。これまで私は歯科衛生士に厳しい要求をすることもあり、ここで働くのは大変だったと思います。それでもここで勤め続けてくれました。特に長く勤めてくれているスタッフは、苦楽を共にした戦友のような感覚になっています。その人たちの居場所を作ることができて本当に良かったと思います。病気が発覚したとき、真っ先に“お礼をしたいのはスタッフと子どもだ”と思いました。今回のCHCPからの経営支援を受けることで、その思いが叶ったような気がします。

おかげさまで、病気については現在、寛解の状態にあり、問題なく歯科医院の運営に注力ができるようになっています。これからはもう一段階、レベルを上げた歯科医院を目指し、そのうえで後進の先生に引き継いでもらいたいと考えているので、その目標に向けてこれからも頑張っていきたいと思います。今回は、中村さんと円谷さんに大変お世話になりました。この2人に出会わなければ、おそらく経営支援を受ける選択はしていません。心から感謝しています。

ありがとうございます。髙松先生が、このお二人にしっかりと意思を伝え、素早く決断をされた点が印象的です。両者の信頼関係の厚さを感じるお話です。

中村

髙松先生が私たちを信頼してくださっていると感じていたので、その思いに応えたいという一心でご提案や交渉を進めさせていただきました。あらゆる選択肢の中から比較検討されるなかで経営支援を受けることを選択し、納得感を持って決断してくださったと思っているので、私としてもお役に立てて本当によかったと思っています。髙松先生から頂戴した言葉は大変嬉しく感じておりますし、アドバイザー冥利に尽きます。

髙松 中村 円谷
円谷

髙松先生は終始“スタッフのために”という思いを持ち続けていらっしゃいました。私たちも、“第三者からの経営支援を受けることは選択肢のひとつにすぎない”という考えを常に持っていました。最終的に経営支援を受けることを選択されなかったとしても、スタッフのために事業承継ができれば、それで良いと考えていました。今回は経営支援を受けての事業継続が最善であるとご判断いただき、かつ私たちも自信を持ってご紹介ができるCHCPとの良いご縁をサポートできて良かったと感じています。まだ成約したばかりではありますが、今後もより成長・発展してくださると嬉しいですね。

弊社の料金体系にも表れていますが、着手金は一切いただかず、お相手と条件に納得された段階で初めて報酬をいただくことになっています。医療法人の事業承継に関する情報は、なかなか世の中に出にくいとは思いますが、まずは私たちを活用いただき、情報収集をしていただき、事業承継の様々な選択肢を知っていただくことで、最善だと思える方法、タイミングでお話を進めていただければと思います。

髙松先生のような個人で歯科医院を経営する先生のなかには、事業承継についてお悩みを抱える方も多くいらっしゃると思いますので、まずはお気軽にご相談をいただけますと幸いです。


(左から)弊社 中村、髙松様、弊社 円谷

文:伊藤 秋廣  写真:加藤 渉 取材日:2024/1/15

担当者プロフィール

  • 企業情報部  中村喜人

    企業情報部中村喜人

    新卒でメガバンクへ入行。法人営業担当として中小~大企業に対し、融資、運用、事業承継提案、海外取引支援等に従事。当社入社後は一貫してM&Aアドバイザー業務に従事し、医療法人、介護、製造業、IT業界等の幅広い分野において経験と実績を有する。

  • 企業情報部 課長 円谷修平

    企業情報部課長円谷修平

    新卒でメガバンクに入行。中堅・中小企業への融資業務、オーナー経営者への事業承継・資産承継コンサルティング業務に従事。2018年に当社入社後、医療法人、調剤薬局、介護事業等のヘルスケア業界を中心に、数多くの成約実績を重ねている。ヘルスケア業界M&Aプロフェッショナルチームメンバー。

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