晴ればれ~M&Aご成約オーナー様の奥様インタビュー企画~

コロナ禍、そしてがん発覚。 夫婦で乗り越えたM&Aまでの試練の壁

出演 株式会社アロマヒーリング 大石 純子 夫人
純子夫人インタビュー写真

「晴ればれ」第三回に登場するのは、東京都内を中心にエステティックサロンを多数運営する株式会社アロマヒーリングの経営者・大石基二さんを公私ともに支える大石純子夫人です。
医療法人田本会とのM&Aまでの道のりは、コロナ禍での苦しい経営や大石社長の病気発覚、2度のM&A検討など、決して平坦ではありませんでした。この度のM&Aでの譲渡に至るまでの出来事や当時の想いを伺います。 ⇒株式会社アロマヒーリング様の
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CAから香港での自由な日々へ。
大石社長と出会うまで

まずは、純子夫人のキャリアについてお聞かせください。

姉、姪っ子と香港ディズニーランドへ訪れたときの写真(写真左) 姉、姪っ子と香港ディズニーランドへ訪れたときの写真(写真左)

大石 純子様(以下、純子夫人)

新卒で航空会社に入社をして、CAとして働いていました。国内線のCAをしていたのですが、早朝から深夜帯まで、フライト時間に合わせて生活リズムを変えていく必要があり、日本にいながらも時差を感じるようになり、自分の体をコントロールするのが難しくなってきてしまいました。翌日のフライトが早い日は「寝なきゃ、寝なきゃ」と思いながらも、一睡もできずに出勤することもあったので、10年間勤めたあたりで、もう限界かな……と思い、退職をしました。そのあとは父の仕事を手伝いながら姉夫婦が住む香港へ渡って、3年ほど香港に住んでいました。

香港ではどのように過ごされていましたか?

純子夫人:

今日はショッピング、今日はご飯、と気の向くままに自由に過ごしていましたね。中国まで遊びに行ったり、シンガポールやタイにも行ったりしました。本当に自由な日々だったのですが、日本に一時帰国をする度に、やっぱりご飯も家も日本の方が自分に合っているんだなぁとも思っていて。そんなときに出会ったのが、夫の大石でした。

大石社長との出会いのきっかけは?

純子夫人:

友人の紹介です。日本へ一時帰国中に知り合い数名の集まりで初めて出会いましたが、当初はこの人が結婚する人だとは思っていませんでした。でも、私が香港に暮らしているということもあって、頻繁に会えるわけではなくて、そんな環境だったからか、ストレートにアプローチしてきてくれました。すごく真っすぐな人なんだな、この人を裏切っちゃいけないな、と思ってからは、結婚までトントンと進んでいきましたね。私が普通に日本に住んでいたら、もしかしたらここまでスムーズに進んでいなかったかもしれませんね。そして結婚を機に日本へ帰国することになりました。

社長と従業員の架け橋となった
会社の成長期

ご結婚後、純子夫人はどのような形で会社に携わっていきましたか?

純子夫人:

結婚当初は、直接的には会社に関わっていなかったのですが、だんだん店舗数が増えていって、自然と私もお店に入るようになりました。私自身は施術ができないので、受付業務や新入社員の教育など、施術以外の業務を主に担当していました。

現在は姉妹店も合わせて14店舗ほど展開されていますが、会社が成長していく過程で、純子夫人の役割に変化はありましたか?

社員旅行でグアムへ訪れた際の写真 社員旅行でグアムへ訪れた際の写真

純子夫人:

やはりサロンという特性上、女性が多い職場のため、男性の大石にはスタッフの気持ちを理解することが難しい場合もありますし、一対一で大石と話すのは気が引けるスタッフもいると思います。ですので、スタッフが大石に直接相談や意見しづらいことがあれば、私がクッション役として間に入ったり、お店で話しづらいことがあれば外でランチしながら3人で話したりと、スタッフが働きやすい雰囲気を作ろうと意識して動いていました。

大石社長個人に対しては、どのようなサポートをされていましたか?

純子夫人インタビュー写真

純子夫人:

新しい店舗をオープンするにしても、 大石はものすごく深く、慎重に考えるんです。
リサーチ力もあるので、いつどこにお店をオープンするかは彼の判断で間違いないと思っていましたので、そこは大石にすべて一任していたのですが、どうしても迷ったときは、私に意見を求めることもありましたね。私自身は楽観的というか「どうにかなる」と思うたちなので、よく「やってみよう」と背中を押すようなことは言っていました。それで気持ちが軽くなったかは分からないですけど、順調に店舗数を増やすことになりました。
また、経営者である以上仕方ありませんが、大石は1年365日頭から仕事のことが切り離せません。お休み中に旅行していても、トラブルがあったりするとその対応に追われますし、お店としょっちゅう連絡を取っていましたが、そんな状況にも「しょうがないね」と寄り添うようにはしていました。

コロナ禍での苦しみと1度目のM&A

順調に店舗数を増やしていたところ、2020年に突如コロナ禍へと突入しました。店舗運営において非常に大きな出来事だったのではないでしょうか。

純子夫人:

そうですね。コロナ禍はお店を開けられない状況が続き、外出自粛もあって客数は一気に減少してしまいました。とても厳しい状況でしたが、未知のウイルスとの戦いをどう乗り切ろうかと考え、まずは何よりもスタッフとお客様の安全を最優先していました。
幸い、私たちの店舗は完全個室でお客様同士の接触はほぼないので、感染リスクを最小限に抑えることができます。ただ、スタッフとお客様は密室で一対一。双方を守るにはどうしたらいいかを各店舗の店長たちと話し合い、スタッフの健康管理、マスク着用での施術、使用済みマスクの扱い、加湿器の使用やコロナ禍専用のお客様カウンセリングシートを用意するなど、さまざまな対策を講じました。
そうして、できることはいろいろとやっていたものの、芳しくない経営状況に大石は結構参ってしまって……。この状況がいつ終わるかもわからないし、これからどうしていこうかと二人で話し合っていたとき、初めてM&Aの話が出てきました。

M&Aのお話が出たとき、純子夫人の心境はいかがでしたか?

純子夫人:

お客さんが減ったのはスタッフの技術がダメだったわけではなく、あくまでコロナ禍が原因ですので、ここで譲渡してしまうのは正直どうなのかなとは思いました。私は「コロナ禍さえ収まれば」という気持ちでした。
また、コロナ禍前にフランチャイズの店舗を出し始めていて、まだ1店舗でしたが成功していましたので、これからまだまだ伸ばしていける、という思いもありました。今すぐ譲渡するかどうかを判断しなくてもいいんじゃないかとも話していたんですけど……。

大石社長の思いは違っていた?

純子夫人:

はい。コロナ禍がいつ収まるかも分からず、不安が大きかったのも事実です。コロナ禍に入ってすぐ、M&A仲介会社に相談して譲渡希望としてリストに登録していたこともあり、譲受したいと言ってくれる会社は出てきていました。すごくいい会社がお相手先として手を挙げてくださっていたので、大石と話し合って、被害が少ないうちに会社を譲渡しようということになりました。
でも、いざ売るとなると、やはり本音の部分ではまだ売りたくないという気持ちが強かったのだと思います。私はだんだん眠れなくなってしまって……。SPA(株式譲渡契約書)を締結する前日の深夜、どうしても寝付けずにリビングへ行くと、大石も眠れなかったようで、彼もリビングにいて。
夜中3時頃でしょうか、私が「やっぱりまだ売りたくないんだよね」と言うと、大石も「そうだよね」と。気持ちが向かないのであれば、それでも良いよと、私の判断で決めていいって言ってくれて、SPA前日でしたが、M&Aをしないという決断をしました。

そして2度目のM&Aへ。クロージング直前でがん発覚

一度目のM&Aを中断してから、その後会社はどのようになっていきましたか?

純子夫人インタビュー写真

純子夫人:

新型コロナウイルスの感染者数の増減には何度も波があり、感染者数が増えればお客様が減り、感染者が減るとともにまたお客様が増えていく、という状況でした。このまま収まるかな?と思えばまた元に戻る。私も大石も一喜一憂していましたが、第3波、4波と来ると、これはもう乗り越えるしかないんだな、気持ちを強くしていくしかないんだなと覚悟を決めました。
一方で、新型コロナが広がると都心からは人がいなくなるし、これからはもっと地方にも力を入れていきたいという話にもなったんです。コロナ禍前からフランチャイズ事業を始めていたこともあり、M&Aをやめてからフランチャイズ店舗を増やしていこうという気持ちが固まりました。外部の人にお店を任せるフランチャイズではなく、うちのスタッフが地元に帰ったときにオープンするのれん分けのような形でフランチャイズ展開を考えていたので、施術技術も担保できますし、安心してお店を任せることができます。
そうしてなんとかやりくりしているうちに、だんだんとお客様も戻ってきて、売り上げも増えていきました。マスク着用が個人に委ねられるようになった頃から売り上げも安定し始め、今年の5月頃にはコロナ禍前と比べて過去最高売り上げを出すまでに持ち直すことができました。
ですが、これから頑張っていくぞ、と思っていたところに、またM&Aの話が舞い込んできたんです。

なぜそのタイミングで?

純子夫人:

以前M&Aを検討していたときのリストの登録がまだ残っていたようで、うちと一緒になりたい、と言っている会社がいるという話がちょこちょこ出てきていました。譲渡しないという決断をしたつもりでしたが、会社をもっと成長させるためにも大石ひとりでは限界を感じていたようです。事業を拡大させたい、という気持ちは強くありつつも、日々目の前の細々した業務に追われ、経営者としての仕事に集中しづらい環境にあったみたいで、経営を一緒にやっていくパートナーが欲しいという理由から、改めて二回目のM&Aに向けて動き始めました。

2回目のM&Aはどのようにお話が進んでいったのですか?

純子夫人:

お相手先の候補として、たくさんのリストをご提案いただいたなかに、今回の医療法人田本会がありました。田本会と一緒になる、という方向で順調にお話が進んでいったのですが、クロージング直前のタイミングで、大石のがんが発覚したんです。

がんの発覚は、M&Aの選択にも影響を及ぼしましたか?

純子夫人:

まだきちんとした検査結果が出る前のタイミングでしたが、写真で見る限りでは影が大きく、これから長い闘病生活に入るのだと覚悟しました。仮にそうなった場合、田本先生と一緒になったとしても、大石が経営に関わるのは難しくなるかもしれません。ですので、がんのことをちゃんとお話をしなければと思い、M&Aのクロージングの直前に田本先生に打ち明けましたが、それでも先生は「よろしくお願いします」と言ってくだいました。大石ががんでもちゃんと会社を受け入れてくれるんだ、 すごくありがたいなと思い、その時感じていた不安もスッと軽くなりました。

がんの発覚は、今後の経営も含め人生を考える大きな出来事ですよね。

純子夫人:

幸い、大石のがんは大きな手術なしに内視鏡ですべて取り切ることができました。体は大事に至らず、会社が登り調子の時に譲渡ができて良かったです。

今回のM&Aは、M&Aキャピタルパートナーズの担当アドバイザーである徳田が仲介を担当しましたが、徳田の印象はいかがでしたか?

純子夫人インタビュー写真

純子夫人:

M&Aの細かなやりとりに関してはいつも大石に任せ、私はところどころ合流してお話を聞いていましたが、徳田さんはとても人柄が柔らかく、控えめな印象でした。譲渡の意思決定に関して急かすこともなく、私たちが納得できる決断ができるまで待ってくれましたし、それを静かに見守ってくださったのが、一番良かったなと思います。

田本先生と広げるM&A後の可能性

M&A後、純子さんや大石社長の会社への関わり方は変わりましたか?

純子夫人:

経営面で大石と田本先生が打ち合わせすることはありますが、基本的にやっていること自体は何も変わりません。田本先生はほぼ今までの大石のやり方のままやってくださいという方針なので、 すごくありがたいです。私自身は、M&A以前から子どもが生まれて以降はお店自体にはあまり行かず、 新店舗オープンの準備や在宅でできる仕事がメインになっています。

経営に田本会が入ったことで、大石社長の精神面の変化はありましたか?

純子夫人:

大石も私も、気持ちがすごく楽になりましたね。それに、慎重派な大石に対して田本先生は勢いのある積極的な姿勢なので、二人の相乗効果で良い会社ができているんじゃないかと思います。
実際、大石は思い切ったことができるようになっていて、この3月に初のまつエク(まつ毛エクステ)サロンをオープンする予定です。今までにないジャンルの事業にもトライしたり、マツエクのサロンもどんどんお店を増やしていきたいと言っていたりと、新しいことにチャレンジしやすくなったのではないでしょうか。私も新しい店舗の準備を手伝って、それらを大きくしていけたらいいなと思っています。

生活面では何か変化はありましたか?

純子夫人:

精神的な部分以外では、そんなに変わりはないです。ただ、最近よく考えるのが、「人の命は有限」ということ。大石ががんになってから、それをよく思うようになりました。仕事もそうですが、元気だからこそできることってたくさんあります。子どもは今小学校2年生なのですが、もう少し成長したらすぐに親とは遊んでくれなくなりますし、今のうちに家族みんなでいろんなところに行って、家族の時間をちゃんと楽しむことを大切にしたいと思います。

家族旅行で宮古島を訪れたときの写真
家族旅行で宮古島を訪れたときの写真

担当アドバイザー
徳田が語る、
純子夫人の素敵ポイント

集合写真

私が初めて貴社にご訪問させていただいた時に、1度目のM&A検討時にはSPA締結をする前日の夜にまだ不安が残り、夫婦で相談をした結果、M&Aをしなかった経緯があることをお伝えいただきました。
それから、ご自宅に訪問する際には、なるべくご一緒に面談をしていただくように面談の設定をしていたのですが、子育てや自身の業務がある中で、お忙しい中にも関わらず、快く面談に参加していただき大変感謝しております。
面談を重ねていくうちに、美容サロンという特性上、女性が多い職場のため、社長一人ではスタッフ全員の気持ちを理解することは難しく、店舗数も拡大していく中で、従業員の方との架け橋として間に入り、陰で支えることでスタッフの働きやすい職場づくりを実現しているのが、大石夫人であると理解しました。
そのおかげもあり、業績も安定し、会社が成長してきたのだと感じました。
時には遅い時間まで、ご自宅でご面談をさせていただいたこともありましたが、大石夫人のサポートがあったからこそ、本件のM&Aのご決断が出来たのだと思います。
本当にありがとうございました。

担当者プロフィール

企業情報部 徳田

企業情報部  徳田 祥己

大学卒業後、銀行に就職。企業担当として法人及びオーナー様への融資業務、資産運用商品の販売、ソリューション業務に従事。銀行時代に自身が承継問題の解決に携わった経験・実績をきっかけに当社に参画。当社入社後は一貫してM&Aアドバイザー業務に従事し、美容事業、運送事業、建設事業、広告事業、IT事業を中心に事業承継の支援を行っている。

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