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バイアウトファンドについて
バイアウトファンドとは、事業承継やMBO、ノンコア事業の切出し等を通じて成長戦略の見直し・リストラクチャリングを実行し、対象企業の企業価値向上を目指すPEファンド。IPO・第三者譲渡・自社株買い等で保有株式を売却して収益化し、投資期間は一般に5年前後(長くても10年程度)とされています。
企業経営に関わるファンドの中にも、さまざまな種類がありますが、プライベート・エクイティ・ファンド(以下、PEファンド)の種類の中のひとつにバイアウトファンドがあります。
本記事では、「M&Aとは?」の基本的な理解を踏まえたうえで、バイアウトファンドの概要、仕組み、ベンチャーキャピタル(VCファンド)との違い、バイアウトファンドを利用するメリットとデメリットについて、詳しく説明します。
バイアウトファンドの概要
バイアウトファンドとは?
バイアウトファンドとは、後継者不在などによる事業承継のための持株売却、経営陣によるMBO(Management Buyout)、複数の事業を運営する会社のノンコア事業の切出し等により、成長戦略の見直し、リストラクチャリング等を実行することで対象企業の企業価値向上を目指すファンドです。株式公開(IPO)、第三者への譲渡、自社株買いなどの方法で最終的に保有株式の売却を行い収益を上げることを目的としています。
また、バイアウトファンドの投資期間は、5年前後に設定するのが一般的で、長くても10年程度です。このように短期間で利益を確定して投資家へ分配するため、投資期間が限定的となっており、企業価値の向上を生み出しやすい施策を計画実行し、バイアウトを進めていきます。
バイアウトファンドの仕組み
バイアウトファンドの仕組みは、主に以下の通りです。
- バイアウトファンドに出資意欲のある投資家から資金を預かる
- 投資対象企業に出資するとともに経営に関与する
- 成長戦略の見直し、リストラクチャリング等を実行することで企業価値を向上させる
- 企業価値が上がった際に株式や事業を売却する
- 高い利益を実現させる
なお、バイアウトファンドは、ある程度成熟した企業を中心に投資が行われます。
しかし、場合によっては投資手法として、経営状況の悪い会社を安値で買収することから「ハゲタカ」と呼ばれることもあります。
ベンチャーキャピタル(VCファンド)との違い
ベンチャーキャピタルとバイアウトファンドは、よく混同されがちですが、以下のような違いがあります。
ベンチャーキャピタルの投資対象は、これから株式上場を目指すようなベンチャー企業です。
一方、バイアウトファンドは、前述したとおり、ある程度成熟した企業が投資対象となります。
また、ベンチャーキャピタルは経営に携わることなく出資のみを行うため、出資金の投資額も低く抑えることができます。
これに対して、バイアウトファンドは、経営に関与することで企業価値を向上させることを目指し、企業買収に近い形態を取ります。その結果、ベンチャーキャピタルより大きな投資額が必要となります。
バイアウトファンドを利用するメリット
ここで、バイアウトファンドを利用するメリットを紹介します。主に以下の通りです。
事業承継できる可能性が高まる
バイアウトファンドは、後継者がいないオーナー企業の場合、会社の継ぎ手として活用されます。
バイアウトファンドは、企業価値を向上させた後に後継者や事業会社へ譲渡する戦略です。そのため、後継者不足に悩む経営者にとって有効です。
事業再生できる可能性が高まる
企業の成長が停滞し、伸び悩んでいる場合にも、バイアウトファンドによる事業再生が期待できます。
バイアウトファンドは、資金だけでなく経営の専門知識をもった人材も派遣されるため、手厚いサポートを受けることができるのです。
また、ファンドからの多額な資金提供により、事業再生の可能性が高まります。
カーブアウトを行える
カーブアウトとは、「切り離す」や「切り出す」などの意味を持っており、企業が事業の一部や子会社を切り離し、ベンチャー企業として独立させ、収益改善や事業成長を図る経営戦略をいいます。
バイアウトファンドを活用したカーブアウトを行う場合、子会社が不採算事業だった際に他社に譲り渡すことで本事業へ注力できるようになります。
また、不採算事業だった子会社は、バイアウトファンドが買収することによって企業価値を向上させることも可能です。
バイアウトファンドを利用するデメリット
次に、バイアウトファンドを利用するデメリットを紹介します。主に以下の通りです。
経営の自由度が制限される
バイアウトファンドの目的は、企業価値を向上させて利益を上げることです。つまり、ファンドと投資家の利益を確保するために企業価値を向上させるのです。しかし、場合によっては、ファンドと会社の間で方針がずれ、対立するケースもあります。
経営権はファンド側にあるため、会社はファンドに従わざるを得ない状況となり自由度が制限されるのが難点としてあります。
バイアウトファンドは会社を短期間で売却することを目標としているため、長期的な戦略を立てない傾向にあります。
経営権を失うリスクがある
バイアウトファンドは、利益を得るためにM&Aによって企業を売却することにより、第三者が経営権を取得する可能性があります。
つまり、元の経営者は経営権を失うリスクがあります。
まとめ
今回は、バイアウトファンドの概要、仕組み、ベンチャーキャピタルとの違い、バイアウトファンドを利用するメリットとデメリットについて、詳しく説明しました。
バイアウトファンドのサポートによって、後継者不在などによる事業承継を達成できる可能性が高まります。そのため、経営者は、バイアウトファンドについて理解し、必要に応じてM&Aの専門家に相談することが望まれます。
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よくある質問
- バイアウトファンドとは何ですか?
- バイアウトファンドとは、後継者不在に伴う事業承継のための持株売却や、経営陣によるMBO(Management Buyout)、複数事業を持つ企業のノンコア事業の切り出し(カーブアウト)などを通じて、成長戦略の見直しやリストラクチャリングを実行し、対象企業の企業価値向上を目指すプライベート・エクイティ・ファンドの一種です。最終的には株式公開(IPO)や第三者への譲渡、自社株買いなどで保有株式を売却し、収益を上げることを目的としています。
- バイアウトファンドの投資期間や出口戦略はどのようなものですか?
- バイアウトファンドの投資期間は、一般的に5年前後に設定され、長くても10年程度とされています。このように投資期間が限定されているため、ファンドは比較的短期間で企業価値の向上が見込める施策を計画・実行し、IPO、第三者への譲渡、自社株買いなどの手段でバイアウト(株式売却)を行い、投資家へのリターンを確定させます。
- バイアウトファンドの基本的な仕組みを教えてください。
- バイアウトファンドの仕組みは、①出資意欲のある投資家から資金を預かる、②投資対象企業に出資するとともに経営に関与する、③成長戦略の見直しやリストラクチャリングを実行して企業価値を向上させる、④企業価値が上がったタイミングで株式や事業を売却する、⑤そこで得た利益を投資家に分配する、という流れで成り立っています。
- バイアウトファンドはどのような企業を投資対象としていますか?
- バイアウトファンドは、主にある程度成熟した企業を投資対象とすることが一般的です。後継者不在のオーナー企業や、成長が停滞している企業、複数事業を持つ中でノンコア事業の切り出しを検討している企業などが典型的な対象です。また、経営状況の悪い企業を安値で買収し再生を図るケースもあり、そのような手法から「ハゲタカ」と呼ばれることもあります。
- バイアウトファンドとベンチャーキャピタル(VCファンド)の違いは何ですか?
- ベンチャーキャピタルは、これから株式上場を目指すようなベンチャー企業を対象に出資を行い、通常は経営に直接関与せず、比較的少額の投資にとどまるケースが多いのが特徴です。一方、バイアウトファンドは、ある程度成熟した企業を対象とし、経営に深く関与しながら企業価値の向上を図る点で企業買収に近い形態をとります。そのため、ベンチャーキャピタルよりも投資規模が大きくなる傾向があります。
- バイアウトファンドを利用するメリットにはどのようなものがありますか?
- バイアウトファンドを活用する主なメリットは、①後継者不在に悩むオーナー企業が事業承継を実現しやすくなること、②成長が停滞した企業でも、ファンドからの資金提供と経営ノウハウの提供により事業再生の可能性が高まること、③ノンコア事業や子会社を切り離すカーブアウトを通じて、本体はコア事業へ集中でき、切り出された事業側もファンドの支援で企業価値向上を目指せること、などが挙げられます。
- バイアウトファンドを活用することで事業承継にはどのような効果がありますか?
- バイアウトファンドは、後継者がいないオーナー企業の株式を引き受け、経営を引き継いだうえで企業価値を高め、その後に後継者や事業会社へ譲渡する戦略を取ることができます。このため、親族内や社内に後継者候補が見当たらない場合でも、ファンドを介した事業承継によって会社を存続させる選択肢が広がる点が大きな効果です。
- 事業再生の場面でバイアウトファンドを利用するメリットは何ですか?
- 業績が悪化し成長が伸び悩んでいる企業にとって、バイアウトファンドは事業再生の強力なパートナーになり得ます。ファンドは事業再生に必要な資金を投入するだけでなく、経営の専門知識や経験を持つ人材を派遣し、戦略立案や組織・財務の見直しを含めた手厚いサポートを行います。これにより、自力では難しかった抜本的な再生策を実行できる可能性が高まります。
- バイアウトファンドを利用する場合のデメリットや注意点は何ですか?
- バイアウトファンドの最大の目的は企業価値を高めて投資家の利益を確保することにあるため、経営方針や投資回収のタイミングを巡って、ファンドと会社側の意向が食い違い、経営の自由度が制限されるおそれがあります。また、ファンドは一定期間内に企業を売却することを前提としているため、将来的に第三者に経営権が移転し、元の経営者や創業家が経営権を失うリスクがある点にも注意が必要です。
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