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簡易合併について
簡易合併とは、一定の条件を満たしている場合に存続会社の株主総会の承認が不要となり、合併に関わる手続きを簡略化できる制度のこと。簡易合併を適用するためには、「消滅会社の株主に交付する対価の帳簿価額の合計額」が、「存続会社の純資産の5分の1を超えない」という要件を満たす必要がある。簡易合併のメリットは、株式総会での承認が不要であり、事業再編がスピーディーに進みやすいことが挙げられる。ただし、簡易合併の条件を満たしていても実施できないケースは存在するため、簡易合併の実施が可能かどうかをきちんと確認する必要がある。
簡易合併は、吸収合併の際に一部の手続きを省略できる制度です。会社法のなかで規定されており、一定の条件を満たせば合併の手続きを簡略化することが認められています。簡易組織再編で、親会社が子会社を吸収合併する際などに用いられます。
本記事では、「M&Aとは?」の基本的な理解を踏まえたうえで、簡易合併の要件やメリットを解説します。要件を満たしていても簡易合併が適用できないケースもあるため、あわせて確認しておきましょう。
簡易合併とは
簡易合併とは、一定の条件を満たしている場合に存続会社の株主総会の承認が不要となり、合併に関わる手続きを簡略化できる制度のことです。この制度により、合併手続きを迅速に進めることができます。
簡易合併と似た言葉に「略式合併」があります。略式合併とは、消滅会社が存続会社の特別支配会社(90%以上の議決権を保有している会社)の場合、存続会社の株主総会の決議を省略できる制度です。この制度では、存続会社が消滅会社の特別支配会社であったとしても、消滅会社の決議は必要ありません。
いずれの場合も合併手続きの簡略化が可能で、手続きを迅速に進めることができるという点では共通していますが、要件が異なるので注意しましょう。
簡易合併の要件
簡易合併を適用するためには、「消滅会社の株主に交付する対価の帳簿価額の合計額」が、「存続会社の純資産の5分の1を超えない」という要件を満たす必要があります。
存続会社の純資産と支払われる対価を比較することにより、存続会社に与える影響の大きさを図るもので、この条件を満たせば株主総会の手続きを簡略化できます。
消滅会社に関する金額(対価)と存続会社に関する金額(純資産額)について、もう少し詳しく見ていきましょう。
簡易合併の場合、消滅会社に支払われる金額は、次の(1)(2)(3)の金額の合計が存続会社の純資産額の5分の1を超えないようにする必要があります。
- (1)消滅会社の株主などに交付する存続会社の株式の数 × 1株あたりの純資産額
- (2)消滅会社の株主などに交付する、存続会社の社債・新株予約権・新株予約権付社債の帳簿価額の合計
- (3)消滅会社の株主などに対して交付する、存続会社の株式以外の財産の帳簿価額の合計
一方で、存続会社の純資産額については、会社法施行規則の第196条をもとに、次の流れで算定することとなります。
- 資本金の額
- 資本準備金の額
- 利益準備金の額
- 会社法第446条に規定する剰余金の額
- 最終事業年度の末日における評価・換算差額等の額
- 新株予約権の帳簿価額
- 自己株式及び自己新株予約権の帳簿価額の合計額
①〜⑥の合計から⑦を控除して計算する。
また、上記の要件に関して存続会社は、定款で5分の1以下の割合であればその割合を定めることもできるとされています。
簡易合併のメリット
簡易合併には、次のようなメリットがあります。
株主総会での承認がいらない
通常の合併では、消滅会社と存続会社の両方で株主総会の承認手続きが必要となるため、多数の株主の賛同を得なければなりません。
一方の簡易合併では、存続会社の株主総会の承認が不要となるため、合併手続きの簡略化が可能です。株主総会の開催に必要な日程や場所の設定、通知といった手続きも必要ありません。
事業再編がスピーディーに進む
通常の合併では、株主総会での承認が必要となりますが、株主が多数いる場合などは株主を招集できず、株主総会の開催すら難しいケースがあります。
簡易合併であれば株主総会が不要になるため、迅速な事業再編が可能となります。
条件を満たしていても簡易合併ができない場合
次のようなケースでは、簡易合併の条件を満たしていても実施できないことがあります。
株主の同意が得られない場合
簡易合併の条件を満たしていても、債権者の同意が得られない場合には、簡易合併を進めることができません。例えば、消滅会社が債務超過に陥っていると、簡易合併であっても債権者の同意が必要となり、債権者の同意が得られないと簡易合併を進めることができません。
また、株主への通知または公告から2週間以内に議決権の株式の総数のうち6分の1を超える株式を持つ株主から反対があった場合には認められず、効力発生日の前日までに株主総会で承認を得る必要があります。
なお、簡易合併では存続会社の株式買取請求権はありませんが、株主への通知・公告は必要になる点に注意しましょう。
存続会社に合併差損が生じる場合
合併にあたって存続会社に合併差損が生じる場合には、簡易合併は適用できず、通常の手続きで合併を進める必要があります。
合併差損が生じるケースとして、(1)承継する債務額が承継する資産額を上回る場合、(2)株式の交付額が得た額を上回る場合などがあります。これらの場合には、株主にも不利益が出る可能性があるため、通常の手続きを行わなければなりません。
合併対価が譲渡制限株式の場合
存続会社が譲渡制限株式を発行している非公開会社であり、合併にあたって消滅会社の株主へ当該株式が交付される場合には、簡易合併を適用できません。
譲渡制限株式とは、譲渡する場合に株主総会などで承認が必要となる株式のことで、自由に売買できない仕組みになっています。譲渡制限株式を交付されることで消滅会社の株主に不利益が生じるため、通常の合併手続きを経て進める必要があります。
簡易合併の手続きを進める流れ
ここでは、簡易合併を進める際の手続きの流れを具体的に解説します。
通常、合併は次のような流れで進めますが、簡易合併の場合は、「4. 株主総会における承認決議」が不要です。
- 事前準備・交渉
- 合併契約の締結
- 合併契約に関する書面の事前の備置き
- 株主総会における承認決議
- 反対株主・新株予約権者への通知または公告
- 債権者に対する官報公告および各別の催告等
- 吸収合併の効力発生
- 吸収合併に関する書面等の本店備置き
- 登記申請
株主総会の決議が不要になる点を除けば、簡易合併の手続きは通常の合併手続きと同じです。株主総会の招集手続きや開催には多くの手間とコストがかかるため、それらが不要になることで、コストを抑えながらスピーディーな再編が実現します。
まとめ
易合併は、存続会社の株主総会承認を省略できる点が最大の利点で、対価が存続会社の純資産の5分の1以下という明確な要件に基づき、合併の迅速化とコスト縮減に寄与します。他方で、通知後に6分の1超の反対が出た場合や、存続会社に合併差損が生じる場合、対価が譲渡制限株式となる場合など、要件を満たしても通常手続へ切り替える必要がある場面があります。略式合併との違いも踏まえ、公告・備置等の手続を確実に行いながら、適用可否を丁寧に確認することが実務上の要点です。
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よくある質問
- 簡易合併とは何ですか?
- 簡易合併とは、一定の条件を満たしている場合に存続会社の株主総会の承認が不要となり、合併に関わる手続きを簡略化できる制度です。吸収合併の際に一部の手続きを省略でき、簡易組織再編として親会社が子会社を吸収合併する場面などで用いられます。
- 簡易合併を適用するための要件は何ですか?
- 簡易合併を適用するためには、「消滅会社の株主に交付する対価の帳簿価額の合計額」が「存続会社の純資産の5分の1を超えない」ことが要件です。対価には、存続会社株式の価額、社債や新株予約権などの帳簿価額、株式以外の財産の帳簿価額が含まれます。
- 簡易合併のメリットは何ですか?
- 簡易合併の主なメリットは、存続会社の株主総会での承認が不要となり、株主総会の招集・開催・通知といった手続きが省略できる点にあります。その結果、通常の合併と比べて事業再編をスピーディーに進めやすくなります。
- 簡易合併の要件を満たしていても実施できないのはどのような場合ですか?
- 簡易合併の条件を満たしていても、債権者の同意が得られない場合、存続会社に合併差損が生じる場合、合併対価が譲渡制限株式であり非公開会社の株式を交付する場合などには、簡易合併を適用できず、通常の合併手続きが必要になります。
- 簡易合併と略式合併の違いは何ですか?
- 簡易合併は、消滅会社の株主に交付する対価の帳簿価額が存続会社の純資産の5分の1を超えない場合に、存続会社の株主総会承認を省略できる制度です。一方、略式合併は、消滅会社が存続会社の特別支配会社(議決権の90%以上を保有する会社)の場合に存続会社の株主総会決議を省略できる制度であり、要件の考え方が異なります。
- 簡易合併の手続きの流れは通常の合併とどう違いますか?
- 簡易合併も、事前準備・交渉、合併契約の締結、合併契約書の備置き、反対株主や新株予約権者への通知・公告、債権者保護手続き、効力発生日、登記申請といった基本的な流れは通常の合併と同じです。ただし通常の合併と異なり、存続会社の株主総会における承認決議が不要になる点が簡易合併の特徴です。
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